先日、新しく出会った人たちにわたしの自己紹介的な意味でつらつらとお話しをしていたら、自分でも苦笑いするほど様々なエピソードがあふれ出てきた。40代の半ばをすぎ、ふと縦横を見回してみると、わたしたちの世代は少し上の世代とも少し下の世代とも違う個性の中に生きているなと感じる。わたしのティーンエイジ期はまるっとバブル時代、経済的な豊かさが日本をめりめり変化させていた時期。子どもだったわたしは幻のような派手やかな時間とはほぼ関係のないところで日々を過ごしながらも、円が力を増したことによる豊かさと日本が世界へと開かれていくタイミングにスルッと乗っかって、16歳でニュージーランドへ交換留学に。3ヶ月ほど現地の高校に通ったものの、物足りなさをじて学校に別れを告げて街に。ソーシャルワークをいくつかかけ持ちしながら、自由にものを見、考える時間がたっぷりと与えられた。フェアトレードのお店で店番しているとやってきたお客さんに「きみはアパルトヘイトについてどう思う?」といきなりきかれたり、同僚の自宅でディナーに誘われソイミートのトマトソース煮みたいな、完全ベジタリアン料理をご馳走になったことも。ベルリンの壁が崩壊したのも留学期間中だった。ゆるゆると止まったような時間、何をするのも自分の判断、都度都度出会う新しい世界観に向き合いながら、自分で考えつたない言葉でひとに伝える。またニュージーランドには豊かな自然とワイルドな遊びにあふれていて友だちやホスト兄弟に連れられて海に山に川に湖、呆れるほどお腹いっぱい遊んで一年を過ごし、帰国。すっかり自由な冒険に味をしめたわたしは、なにかと理由をつけては、国内海外を問わず旅するひとへと成長していった。あの頃はね…負の遺産のように言われる時代の片隅で、経済の急激な成長の恩恵をたっぷり受けて、早い段階で自分の好ましい世界を生きることを選択しながら大人になれた気がする。

そうか、あのニュージーランドに始まった旅人の人生はそろそろ30年になるのか…あれからたくさんの旅をした。旅をするうち、わたしは旅人の目を自分のものにしてきたと感じている。そして充分に大人になったわたしは2年前、旅の神さまに招かれるようにふたたび旅をはじめた。10年ぶりに大きな外の世界に立って、くるりとあたりを見渡してみると外の世界は新しい時代を大きく進化しているように見えた。何度も何度もゆっくりと息を吸って、吐いて、見える限りの全てを見ようとし、身体に染み込ませる。刻々移り変わる旅の日常、にやにやクスクスしながら、旅人の目を通して見えてる世界についてこのブログで書いていこうと思っている。

なによりもこれから大人になるひとたちが、海の外の大きな世界を夢見て、うずうずして旅に出てくれたらいいのにとの思いを込めて